映画(4)

クリント・イーストウッド作「ミスティック・リバー」を鑑賞。2003年公開。第76回アカデミー賞で作品賞を始めとした6部門にノミネートされ、ショーン・ペンが主演男優賞を、ティム・ロビンス助演男優賞をそれぞれ獲得した。
クリント・イーストウッドは人間の運命が捻じれて交差する不運や、過去に起きた事件やその後悔を描くのが実に上手い。あと選ぶ俳優も良い。
数ある作品の中でたびたびアメリカの人種の壁・貧困が織り込まれている。特に「ミリオンダラー・ベイビー」「グラン・トリノ」「ミスティック・リバー」の3作品はそれだ。病めるアメリカの姿を冷静に描いている。
住んでる町並みや就いてる仕事や子供が通う学校。あと部屋の家具や服装とか持ち物とか。小さな細かい部分が今のアメリカの姿なんだろうなとリアルに出している。これはイーストウッドの生い立ちにも絡んでいるのだろう。


クリント・イーストウッドは父クリント・イーストウッド・シニアと母モーガンイーストウッドの間に生まれる。スコットランドアイルランド、ドイツ、イングランドの4か国の血をひいている。家系はメイフラワー号の乗員で港町プリマスを統治したウィリアム・ブラッドフォードを祖とする名家であるが、幼い頃の生活は世界恐慌の煽りを受け苦しかった。オークランド・テクニカル・ハイスクール卒業後、朝鮮戦争のさなかである1951年に陸軍に召集され入隊。2年後の1953年に除隊後、サウス・カリフォルニアに移住。アルバイトの傍らロサンゼルス・シティ・カレッジの演劇コースを専攻する。(Wikipediaより)



売れるまでの俳優生活は貧しく生い立ちからも分かるように恵まれたスタートではなかった。
ガンマンやダーティハリーシリーズで「もう既に有名になっているスター」としか認識を持っていなかったが監督になってからの彼が作った映画の素晴らしさは、自身が体験したものから成り立っているのが良く分かる。そして今の病めるアメリカの姿を映画を通して訴えているように思える。アメリカを祖国とも思えずアメリカという国のために他国と戦い「これで良いのだろうか」と悩んだことがもしかしたらあったのかもしれない。
「もう映画は撮らない」と「グラン・トリノ」を撮ったあとそう答えていたが「インビクタス/負けざる者たち」が現在公開中。楽しみだ。この人には死ぬまで映画を撮って欲しいと思っている。
(2/19 追記)

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