ここはチベット

田舎暮らしの良いところは四季を感じられる所だなあと思っている。都会を離れてから尚更そう思うようになった。いや離れる前にそれを感じたくてここに移り住んだのかもしれない。元々実家は東北の山の中で嫌と言うほど自然のど真ん中に生まれ育ち、その中での不便さを強く感じて育った。反動で18で東京に飛び出したからあまり実家には帰らなかった。正直田舎はどんくさいし「日本最後のチベット」と亡くなった叔父に冷やかされていたのもあり、嫌っていた部分が大きかった。ところが長いこと都会に住んでいると異様に緑や川やのどかなあぜ道が恋しくなってきたのだ。建物に入るとどこでもクーラーが効いて、交通網も発達し、物も豊富に揃っている都会よりも、不便でダサイくて嫌で逃げ出した場所へ帰りたくなったのだ。たまたま現在の夫がほど良い田舎に住んでいたので結婚と同時にここ千葉に移住したのだがこれが良い塩梅な処。四季が感じられる田舎と約1時間で都内に行ける便利さでも良い塩梅なのだ。今日は散歩がてらアンドロイドで撮りながら桜を眺めた。

自然に咲く花や実を付ける果物、緑や赤や黄色と変化して行く山。頭の上でくるくると回りながらさえずる鳥。たまに田植えをした跡の田んぼにコロに引っ張られながら落ちてしまう私を叔父はあの世から笑って見ているのだろうか?「チベットに戻ってきたな。やっぱりチベットが好きなんだなあこの田舎者め」と。